弁護士コラム:【交通事故】物損事故において全塗装が認められる場合

1 はじめに

物損交通事故では,損傷箇所の修理方法として,塗装を施す場合があります。
その際,損傷個所以外の塗装費用も,修理費用の範囲に含まれるかが問題となります。
この問題は,部分塗装と全塗装のどちらが原則か?という問題とされています。

 

2 部分塗装が原則

部分塗装が原則です。すなわち,修理費用として認められるのは損傷個所の塗装費用のみとなります。
全塗装は,特段の事情がなければ認められません。

では,全塗装が認められる特段の事情とはどのような場合をいうのでしょうか。
一般的には,次の3つ場合をいいます。
①事故車両に特殊な塗装技術を施してあるため,破損部分のみを再塗装すると他の部分との相違が明白となり美観を害する場合
②自動車自体が高価なもので,しかもその価値の大部分が外観にかかっている場合
③再塗装の範囲が広く全塗装する場合と比較して費用に大きな差異が生じない場合

 

3 全塗装を認めた裁判例の紹介

1つ目は,神戸地判平成13年3月21日です。
裁判所は,事故車両がベンツ500SLという高級車であり,特殊塗装が施してあり,部分塗装では他の部分との相違が明白であることなどから,全塗装を認めました。
これは,特段の事情の①に該当する事案といえます。

2つ目は,東京地裁平成元年7月11日です。
裁判所は,事故によりバッテリーが破損して,バッテリーの液体が車体のどの範囲に飛散したのかが明確にならなかった事案でした。
バッテリーの液体は希硫酸なので腐食の原因になります。
この裁判例は,特段の事情①~③のいずれにも該当しませんが,全塗装を認めるべき事案といえます。

 

4 最後に

以上,物損事故における塗装の範囲について御説明しました。
交通事故でお困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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執筆者

弁護士法人イーグル法律事務所 代表弁護士
神戸・明石を拠点に、誰もが気軽に相談できる法律事務所を目指します。
特に年間200件以上の相談実績がある「交通事故」問題や、「相続・遺言」「債務整理」の分野に豊富な経験と実績があります。その他、企業法務から離婚、刑事事件まで幅広く対応。専門家の立場から、皆様のお悩みを解決するために正確で分かりやすい情報をお届けします。

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