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弁護士コラム:【民法改正】土地の共有者の一人が行方不明の場合

2023.06.10
1 はじめに

遺産である土地(以下「本件土地」)が被相続人の持分が3分の2、他人が3分の1であったとします。相続人は2人、3分の1持分権者は行方不明、隣地の住人が本件土地を住宅地として使用していたいと希望しています。改正民法では、相続人2人はどのような手段を講じることができるか検討していきます。

 

2 民法252条

「共有物の管理に関する事項は・・・は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。」(民法252条第1項)

「共有者は、前3項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。」とされ、宅地としての土地の賃貸借は5年に限りすることができます(民法252条第4項)。

そこで、相続人2名は、本件土地を、宅地として5年間賃貸することができます。

 

3 民法251条第2項

「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。」(民法251条第2項)。

そこで、相続人2名は、本件土地を、裁判所の許可を得て、宅地として5年を超えて賃貸することができます。

 

4 民法262条の2

「不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下「この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる。」(民法262条の2)

そこで、相続人2名は、裁判所の許可を得て、3分の1の持分を取得することができる。

 

5 民法262条の3

「不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。」(民法第262条の3)

そこで、相続人2名は、全員が3分の2の持分を隣人に譲渡することを条件に、3分の1の持分を隣人に譲渡することができる。

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