住宅ローンがある自宅不動産について、住宅資金特別条項付きの個人再生申立てを行ったり、任意整理をすることができない場合、破産申し立てを行わなければなりません。
この時、破産手続が開始され、破産管財人が就いた場合、破産管財人は自宅不動産を任意売却をすることになります。そして、任意売却の目処がついた場合、破産管財人は破産者に対して自宅不動産を引き渡すよう求めることになります。
破産者としては、もし破産管財人の任意の要請に応じない場合、破産管財人より、引渡命令を申し立てられることになります。破産法では、「裁判所は、破産管財人の申立てにより、決定で、破産者に対し、破産財団に属する財産を破産管財人に引き渡すべき旨を命ずることができる。」と規定されています(破産法156条1項)。
また、破産者が引き渡しに応じない場合、この行為が破産管財人に対する職務妨害行為とされ、免責不許可事由になりえます。破産法では、「不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。」が免責不許可事由とされています(破産法252条1項9号)。
このように、住宅ローン付き自宅不動産を有している場合に自己破産を申し立てる場合、破産者としては、転居先を速やかに確保することが求められることになります。