1 はじめに
残業代請求事件では,昼休みなどの休憩時間について,休憩は取れていなかったという主張がなされることがあります。裁判所ではこの主張は認められにくいとされていますが,今回は,東京地裁平成17年11月11日判決(クアトロ(ガソリンスタンド)事件)という裁判例を紹介します。
2 判断
裁判所は,ガソリンスタンドで勤務していた原告が,①休憩時間中もスタンドの敷地から出ることが全面的に禁止され,②基本的にはスタンドには常時1名の人員しか配置されておらず,③顧客が来場した際には即時に対応することが求められていた事実から,休憩時間もいわゆる手待時間にあたるとし,実労働時間と判断しました。
3 まとめ
上記判断から,休憩時間が実労働時間とされるかについて,次のような考慮要素を抽出することができます。
すなわち,①従業員が当該時間帯に外出することは認められていたのか,②事務所には当該時間帯に1人しかいなかったのか,③従業員は当該時間帯に即時に対応することが求められていたのかという点になります。