1 配偶者居住権も特別受益にあたる
配偶者が自宅の配偶者居住権を遺贈されたとします。この配偶者居住権はいわゆる特別受益にあたります。そのため、他にも預貯金等の遺産がある場合、遺産の前渡しとされ、他の相続人との遺産分割において法定相続分よりも少ない取り分になるのが原則となります。
2 配偶者居住権と持戻し免除の意思表示
遺贈された配偶者居住権は特別受益にあたりますが、被相続人による持戻し免除の意思表示が認められれば、遺贈された配偶者居住権は遺産の前渡しとはなりません。そして持戻し免除の意思表示の推定規定が配偶者居住権にも適用されるので、20年以上夫婦関係にある夫から妻への配偶者居住権の遺贈は、持戻し免除の意思表示が推定されることになります。そのため、他の相続人が推定を覆すことができなければ、持戻し免除の意思表示が認められることになります。