1 はじめに
配偶者が配偶者居住権の設定を受けて自宅で居住していたが、途中で交通事故に遭い、自宅で居住することができなくなり、老人ホームで生活することになったとします。そこで、配偶者は、配偶者居住権を換価することにより、配偶者居住権の価値を回収しようとすることもあると思われます。
2 第三者に賃貸する
換価方法の1つとして当該居住物件を賃貸することが考えられます。もっとも、この方法の問題点は2つあります。
1つ目は、所有者の承諾を得なければならないことです。つまり所有者が承諾をしなければ第三者に賃貸することはできません。
2つ目は、賃借人の地位が不安定になることです。すなわち、配偶者居住権の存続期間は配偶者が亡くなるまでです。人は不慮の事故等で当然亡くなることもありますので、賃借人は予期せず賃貸借契約が終了するリスクを負うことになるのです。
これら問題点を考えると、配偶者居住権を設定することはそれなりのリスクがあると言えますので、慎重に判断する必要があります。