
2025年1月16日(木)、兵庫県宅地建物取引業協会 神戸支部様のご依頼により、当法人の代表弁護士・湖山達哉が講師を務め、「不動産業における事件事故への対策勉強交流会」に登壇いたしました。
今回の講演では、現場でよくご相談いただくテーマである「説明義務(心理的瑕疵)」および「原状回復義務」について、最新の裁判例やガイドラインを踏まえながら実務的な視点から解説しました。
心理的瑕疵に関する説明義務
まず取り上げたのは、物件内や周辺で起きた自殺・殺人・火災など、心理的に忌避される事案が発生した場合の「説明義務」についてです。
物件の取引に際しては、借主や買主の判断に重要な影響を与える事実を告げなかった場合、損害賠償責任を問われるリスクがあります。
特に近年のガイドラインや裁判例(例:大阪高判平成26年9月18日)では、「事件後どれくらい経過しているか」「建物が取り壊されているか」など、様々な要素を総合的に判断し、説明義務の有無が決まるとされています。
当日は、「何年前の事件まで説明が必要か?」「自殺があった部屋と他の部屋では説明義務が異なるのか?」など、具体的な事例を用いて分かりやすく説明しました。
原状回復義務と特約の有効性
続いて、賃貸借契約終了時の「原状回復義務」についても解説しました。
賃貸人・賃借人間で最もトラブルが起こりやすいのが、「通常損耗」か「特別損耗」かの判断です。
例えば「喫煙による汚損」は原則として通常損耗とされますが、契約書に「全面張替費用は借主負担」と明記されていれば、その特約が有効とされるケースもあります(契約自由の原則)。
当日は、ガイドラインの解釈に加え、特約の有効性を認めた裁判例も交えて、賃貸人がどのように契約書を作成・運用していくべきかを説明しました。
実務上のQ&Aも多数
後半には、不動産業の現場で実際に生じたトラブルについてのご質問にも多くお答えしました。
- ・支払い能力のない相手からの損害回収方法
・駐車場の放置物への対応
・家賃未納者の相続と債権回収
・外国人入居者との契約トラブル
・借主による嫌がらせ行為への対処法 など
法律的な見解に加え、実務上のアドバイスも交えながら、参加者の皆様と活発な意見交換を行うことができました。
不動産取引は、法律と実務のバランスが非常に重要です。
当事務所では、不動産業者様が安心して業務を行えるよう、日々の契約書チェックやトラブル対応も積極的にサポートしております。
ご相談は随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
弁護士法人イーグル法律事務所