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弁護士コラム:「相続法改正・遺産分割前の預貯金払戻し①」

2020.07.27

遺産分割前の預貯金払戻し①

相続法改正により,各相続人が,遺産分割前に,裁判所の判断を経ることなく,一定の範囲で遺産に含まれる預貯金債権を行使することが出来るようになりました(民法第909条の2)。

そこで,今回はこの制度について説明したいと思います。

 

預貯金払戻しについて

弁護士法人イーグル法律事務所

例えば,亡太郎さんには遺産としてA銀行の普通預金に300万円,A銀行の定期預金240万円(満期到来済み)があり,法定相続分1/2のサクラさんが亡太郎さんの入院費用や葬儀費用を支払うために計80万円を確保したいとします(以下「事例1」といいます。)。

 

改正法では,各相続人は,遺産に属する預貯金債権のうち,その債権額の1/3に,当該払戻しを求める相続人の法定相続分を乗じた額について,預貯金の払戻しができるとされています(以下「ルール①」といいます。)。また,払戻しができる預貯金債権の割合及び額は,個々の預貯金債権ごとに判断されることになります(以下「ルール②」といいます。)。

事例1では,サクラさんが払戻し可能となる金額は,A銀行の普通預金について50万円(=300万円×1/3×1/2),A銀行の定期預金について40万円(=240万円×1/3×1/2)となります(ルール①適用)。このようにサクラさんはA銀行から合計90万円の払戻しを受けることできます。なお,サクラさんが「A銀行から合計90万円払戻しを受けられるのであれば,普通預金から90万円の払戻しを受けよう。」と考えたとします。しかしそれはルール②の適用により出来ません。

また,改正法では,1つの金融機関に払戻しを請求することが出来る金額の上限が150万円とされました(以下「ルール③」といいます。)。そのため,大きな資金需要がある場合は仮分割の仮処分(家事事件手続法第200条第3項)という別の制度を利用する必要があります(詳細は別記事で説明します。)。

 

ルール③を別の例で説明してみます。事例1の遺産を変更し,A銀行の普通預金に600万円,A銀行の定期預金に1200万円,B銀行の普通預金に720万円の普通預金があったとします(以下「事例2」といいます)。

 

事例2では,まずルール①を適用すると,A銀行の普通預金については100万円(=600万円×1/3×1/2),A銀行の定期預金については200万円(=1200万円×1/3×1/2),B銀行の普通預金については120万円(=720万円×1/3×1/2)となります。よって,サクラさんは,A銀行からは合計300万円,B銀行からは120万円の払戻しを受けることが出来そうです。しかし,A銀行については払戻額300万円>限度額150万円となりますので,サクラさんはA銀行からは150万円の限度でしか払戻しを受けることが出来ません(ルール③適用)。
なお,サクラさんはA銀行について例えば普通預金から100万円,定期預金から50万円の払戻しを受けることが出来ますが,普通預金から150万円の払戻しを受けることは出来ません(ルール②適用)。

 

以上,遺産分割前の預貯金払戻し制度についてご説明しました。

もっとこの制度を知りたいという方はイーグル法律事務所にご相談ください。

 

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