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弁護士コラム:【借金問題】個人再生の手続の流れ

2020.10.31
1 はじめに

個人再生の場合、借金が大幅に圧縮できます。
そして、その圧縮された借金を、原則3年、例外的に5年で分割返済していくことになります。
例えば、借金400万円で、財産が50万円の場合、計100万円を返済すればよいことになります。100万円を3年で返済するとなれば、月2万7888円を返済することになります。

この点については、別記事
弁護士コラム:【債務整理】個人再生の場合いくら返済することになるか?
をご確認ください。

以下では、個人再生の手続の流れについて簡単に説明していきしょう。

 

2 個人再生の手続の流れ(総論)

個人再生の場合、大きくは、①申立て→②個人再生手続の開始決定→③再生計画案の作成→④付議決定→⑤認可決定→⑥認可決定確定→⑦初回返済という流れになります。

 

3 申立て

個人再生の申立ては裁判所に対して行います。
裁判所は書面審査をします。具体的には、債務者が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあ」るかを審査することになります。そのために、申立てに際しては、以下のような書類を提出しなければなりません。

借金の額を審査する書類として債権調査票を提出することになります。債権調査票は各債権者から取り寄せることになります。だいたい1~2か月はかかります。
住宅ローンがある場合は、住宅ローン契約書や返済表を提出することになります。

財産の額を審査する書類として、預金通帳(過去1年分)、保険証書(解約返戻金証明書を含む)、車検証、初年度登録が7年未満であれば査定書、勤続年数が5年以上の場合は退職金の額が分かる書類、自宅が所有している場合は、全部事項証明書、固定資産評価証明書・査定書を提出することになります。

履行可能性(毎月決まった金額を払えるか)を審査する書類として、直近2か月分の給料明細、直近2年分の源泉徴収票(所得証明書)を提出することになります。

その他、家族関係を把握するために世帯全員の住民票(マイナンバー省略)などを提出することになります。

基本的には以上の書類を依頼者が収集し、弁護士が書類をもとにして、申立書、債権者一覧表、陳述書、履行可能性に関する陳述書、家計収支表、財産目録、清算価値算出シートなどを作成し、裁判所に提出することになります。

以上、申立てにあたってはやることが様々あるので、通常は数か月はかかることになります。

 

4 個人再生手続開始決定

申立てを行うと、事件番号が付され、担当の裁判所書記官が決まります。
裁判所書記官は、申立書類一式を審査し、問題なければ、個人再生手続開始決定を行います。不備など問題がある場合は、適宜、補正の指示を出し、それがクリアできれば、個人再生手続が開始されます。

また、個人再生手続開始に際し、裁判所から、認可決定までの間、家計収支表を作成し、水道光熱費などの裏付け資料、給料明細の提出を求められます。加えて、個人再生が認められた場合に毎月支払うことになる金額を積み立てることも指示されます。
特に、この積立てを怠ったり、いったん積み立てたお金を出金したりした場合、個人再生が認められない可能性がありますので、注意が必要となります。
なお、積立ては、積み立て専用の口座を設けて、そこに毎月決まった金額を入金することになります。中には、代理人の預かり金口座に入金してもらうこともあります。

ちなみに、大阪地裁管内では、弁護士が申し立てる場合は基本的には個人再生委員が就くことはありません。司法書士による申立ての場合は個人再生委員が就きます。他方、東京地裁管内では、全件、個人再生委員が就くことになります。そのため個人再生委員の費用として別途予納金を納めなければなりません。

 

5 再生計画案の作成

個人再生手続の開始決定が出ると、裁判所から、債権者に対し、開始決定前日までの債権額を知らせなさいといった趣旨の連絡文が届きます。債権者は、所定の書式に従って債権届出書を提出することになります。

この債権届出書は、後日、裁判所から代理人弁護士の事務所に送られてきます。
そして、弁護士は、債権届出書に記載してある金額に誤りはないかを確認します。
なお、中には債権届出書を提出しない債権者もいます。この場合、申立時に提出した債権者一覧表に記載してある債権額で届け出たものとみなされることになります。

届出額に誤りがなければ、これをもとに再生計画案を作成します。

 

6 付議決定

完成した再生計画案を、数か月分の家計収支表(裏付け資料含む)、積み立て用の通帳履歴とともに裁判所に提出します。
裁判所は、これらの書類をチェックし、再生計画案に問題ないかなどチェックします。
チェックして問題なければ、各債権者に対し、再生計画案を発送する手続を行います。これを付議決定といいます。

 

7 認可決定

債権者は、裁判所から送られてきた再生計画案をチェックすることになります。反対であれば裁判所にその旨を申告することになります。賛成の場合は特に何もすることはありません。

債権額の過半数を有する債権者が再生計画案に反対した場合、この段階で、個人再生手続は廃止となります。つまり、個人再生は認められないことになります。

当事務所では、これまで、個人再生申立てを多数行ってきましたが、多くの債権者は反対することはありません。反対するのは、ごく限られた一部の債権者になります。

この点について詳しくは、
・弁護士コラム:【個人再生】楽天カードは再生計画案に同意するか?
・弁護士コラム:【債務整理】日本学生支援機構は個人再生に反対するのか?
をご確認ください。

裁判所は、債権者の過半数を有する債権者が再生計画案に反対していないことを確認し、個人再生を認めるか最終決定をすることになります。その際は、家計収支表の作成状況、積立て状況を考慮することになります。

 

8 認可決定確定→初回返済

再生計画案の認可決定が無事出た後、裁判所は、官報に、認可決定が出たことを載せることになります。そのため、認可決定が出てから確定するまでに、おおよそ1か月かかることになります。

再生計画案では、初回返済月を「確定月の翌々月」とすることが多いと思われます。
そのため、例えば、認可決定が9月、その確定が10月とすれば、初回返済は12月~となります。

 

9 最後に

以上、個人再生の手続について、大まかな流れを説明しました。
申立てから初回返済まで1年程度要することがお分かりいただけたかと思います。
個人再生を検討されている方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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